2021年2月10日水曜日

アマゾン(AMZN) 第3のフリーキャッシュフローとは何か?


前回、前々回と、アマゾン(AMZN)の2020年度(2020年1月―12月)の2つのフリーキャッシュフローを紹介しました。

1.「いわゆる」フリーキャッシュフロー

⇒ アマゾン(AMZN) ザ・キャッシュマシン 2020年のフリーキャッシュフロー 前年比+20%の伸び!

2.「本当の」フリーキャッシュフロー

⇒ アマゾン(AMZN) もはやキャッシュモンスター 2020年の「本当の」フリーキャッシュフロー 前年比+26%の伸び!

そして、今回は第3のフリーキャッシュフローの紹介です。

第3のフリーキャッシュフローは、リースを利用せず、設備を全て即金で購入した場合の仮定のフリーキャッシュフローです。

ということで、この第3のフリーキャッシュフローのことを「リースを使わなかった場合の」フリーキャッシュフローと呼ぶことにします。

(百万USドル)20192020増減
営業キャッシュフロー$38,514$66,064$27,55072%
設備投資-$12,689-$35,044-$22,355176%
リース設備支払い-$12,916-$9,104$3,812-30%
その他リースの元本返済-$392-$427-$359%
リース利息の支払い-$27-$53-$2696%
「リースを使わなかった場合の」FCF$12,490$21,436$8,94672%

「リースを使わなかった場合の」フリーキャッシュフローはあくまでも仮定のフリーキャッシュフローなので、前年度と比較しても意味はありませんが、2020年度は21,436百万USドルで、前年比+72%の伸びとなっています。

この「リースを使わなかった場合の」フリーキャッシュフローの目的は、「本当の」フリーキャッシュフローと比較することによって、リースを利用したことによるメリットを把握することです。

概ねリースを利用した方が有利なことが分かります。

しかし、2020年度はリースを利用しない方がフリーキャッシュフローが多くなっています。

ちょっと分かりづらいですか?

以上の内容を、以前、2020年8月15日のブログにも書いたことがあります。

こちらの方が分かりやすいと思うので、もし時間があれば読んでみて下さい。

⇒ アマゾン(AMZN) フリーキャッシュフローが3種類もありますが何か? パート3 完結編

尚、この中では、それぞれのフリーキャッシュフローの呼び方が違っているので、補足しておきます。

#1FCF=「いわゆる」フリーキャッシュフロー

#2FCF「本当の」フリーキャッシュフロー

#3FCF=「リースを使わなかった場合の」フリーキャッシュフロー

ファイナンスリース=リース


(以下、8月15日ブログ再掲)

以前、アマゾン(AMZN)は、決算時に3種類のフリーキャッシュフローを公表しているということを紹介しました。

⇒ 「アマゾン(AMZN) フリーキャッシュフローが3種類もありますが何か? パート1

⇒ 「アマゾン(AMZN) フリーキャッシュフローが3種類もありますが何か? パート2

そこで生じた疑問は次の2つでした。

1.なぜ「リース費用調整後の」フリーキャッシュフローが2つあるのか?

2.どちらがより「本当の」フリーキャッシュフローなのか?

ということで、私、不肖児玉源太郎、意を決してアマゾン(AMZN)のIR部門にメール照会を敢行し、回答が得られたので以下の通りご報告申し上げます。

金利が安いなど、ファイナンスリースを利用した方が有利な場合に、即金で購入する代わりにファイナンスリースを利用している。

ファイナンスリースは、主にサーバーのようなIT関連の設備投資に使っているとのこと。

(以下、フリーキャッシュフローはFCFと表記し、3つのFCFはそれぞれ#1FCF、#2FCF、#3FCFと呼ぶことにします)

#1FCF=ファイナンスリースによる支出を考慮に入れない、いわゆるFCF

#2FCF=#1FCFに加えて、ファイナンスリースに関わる実際の現金支出を反映させたFCF

#3FCF=実際にはファイナンスリースも利用しているが、全ての設備を即金で購入したと仮定した場合のFCF

ということで、下のグラフをご覧下さい。

ファイナンスリースを全く使わず全ての設備を即金で購入していた場合には、FCFは#3FCF(黄)となっていたはずだが、ファイナンスリースを利用することによってFCFは#2FCF(赤)まで増加し、その差はファイナンスリース利用による改善額である。

従って、冒頭の疑問に対する回答としては、#2FCFが投資家が把握しておくべき「本当の」FCFと言えると思われます。

そして、ファイナンスリースを利用することにり改善されたFCF(#3FCFと#2FCFの差額)を示すために、複数のFCFが公表されていることが分かりました。

何だか、とてもスッキリしました。

アマゾン(AMZN)の担当者殿、素人の照会にもかかわらず、分かりやすく回答していただきありがとうございました。

最後に、実際の回答メールを添付します。

Thank you for your message, and apologies for the delay in response.

 As you note, we have three FCF metrics. The 2nd and 3rd metrics, which you refer to as “modified,” are primarily intended to capture the investments we’re also making via finance leases (formerly referred to as capital leases). These leases are primarily for the lease of technology equipment, including servers. While we also have the option to purchase these assets outright, we’ve often elected to lease servers given the favorable interest rate environment.  In our 1st FCF metric, the cash outflows for these leasing activities is not captured (except for some minor imputed interest portion included in our “cash flow from operations”).  FCF #2 reflects the actual cash outflow in the period for payments made on these finance lease arrangements.  FCF #3, rather than reflect actual in-period cash payments, includes the full asset value of the finance leases “acquired” during the period. To my earlier point, FCF #3 is intended to convey the investment outflow if we’d elected to purchase outright rather than lease these assets.  We’ve included views of both FCF #2 and #3 so that the financial reader can understand (inclusive of finance leases) both actual cash outflows and potential cash outflows if we were buying these assets in a less favorable leading environment.


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