2022年2月10日木曜日

アップル(AAPL) 株主還元270憶ドル ところで配当・自社株買い以外の第3の株主還元策とは?



アップル(AAPL)の2022年第1四半期(2021年10月―12月)決算は増収増益でした。

⇒ アップル(AAPL) 2021年10月―12月決算 業績さえしっかり出せば株価もそれについていく

その好決算発表の中で、CFOが語っていたこと。

「株主還元を270憶ドル実施した」

“These record operating results allowed us to return nearly $27 billion to our shareholders during the quarter, as we maintain our target of reaching a net cash neutral position over time.”

しかし。

キャッシュフロー計算書を見てみると、配当支払いと自社株買いの合計は240憶ドル。

1Q20211Q2022増減
配当$3,613$3,732+$119+3%
自社株買い$24,775$20,478-$4,297-17%
株主還元合計$28,388$24,210-$4,178-15%

何かの間違いでしょうか?

とりあえず。

数字を合わせるために、見慣れない一項目(Payments for taxes related to net share settlement of equity awards)を足してみると270憶ドルになりました。

とりあえず「報酬株式純額決済納税」と訳しておきましょう。

1Q20211Q2022増減
報酬株式純額決済納税$2,861$2,888+$27+1%
配当$3,613$3,732+$119+3%
自社株買い$24,775$20,478-$4,297-17%
株主還元合計$31,249$27,098-$4,151-13%

しかし。

数字は合ったものの、果たしてこれは株主還元になるのでしょうか?

今まで、株主還元といえば、配当と自社株買いだけだと思っていたので、ちょっと困惑です。

ということで。

アップル(AAPL)の広報に照会してみました。


報酬株式純額決済納税は株主還元の1つなのですか?」

I would like to ask you about your shareholder returns during the 1Q2022.

According to the Cash Flow Statement, dividend payment was $3,732 million and share repurchase was $20,478 million, which was $24 billion in total. However, your CFO says, “These record operating results allowed us to return nearly $27 billion to our shareholders during the quarter." Does he include $2,888 million of payment for taxes related to net share settlement of equity awards to the shareholder returns? If so, what is it and is it considered as one of the shareholder returns?


その回答がこちらです。


Yes net share settlement is a part of our capital return.

Net share settlement is a part of how we manage stock based compensation. Under a net-share settlement, rather than receive cash for the taxes and issue the gross number of shares, no cash is exchanged, and the employer simply delivers to the employee the shares with a fair value equal to the after-tax value of the shares.  The shares withheld to pay the taxes are included in our capital retuned to shareholders as it represents the “repurchase” of those shares from the employees and reduces the overall number of shares that otherwise would have been outstanding.


自分の理解した範囲で、分かりやすく単純化して意訳すると


株式純額決済は株主還元の1つです。

報酬として株式を100株発行して従業員に渡し、その税額分を現金で受取る代わりに、

あらかじめその税額相当分(例えば20株)を差し引いた80株だけを発行して渡せば、

結果として総発行株式数が減って、自社株買いと同じ効果となる。


ということになるでしょうか。

株式による報酬をもらう立場にない私としては、ちょっと狐に化かされたような気もしますが、確かに株式総数は減ります。

ということで。

とりあえず。

ひとつ新しいことを知りました。

そして。

私のような株主の質問にも真摯に答えてくれるアップル(AAPL)とは、引き続き長いお付き合いをしようという思いを新たにした次第です。

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エヌビディア(NVDA) ARM買収断念を発表 それでも得られた貴重なものとは?



遂に、というか、やっぱり、というか。

エヌビディア(NVDA)がARMの買収を断念しました。

買収発表に際して前払いした1,250百万USドル(約1,400億円!)は帰ってきません。

⇒ エヌビディア(NVDA) ARM買収に暗雲 買収成功のただひとつの拠り所とは?

1,250百万USドルの違約金!

とんでもない金額です。

小市民である私など、この2年間に得られたであろう利息だけでも惜しい気分です。

何でまたこんな契約を結んでいたのでしょうか!

エヌビディア(NVDA)の株式数(希薄化後)は、2021年10月末現在で2,538百万株です。

1株当たりにすると、49セントになります。

ん?

拳を振り上げようと思ったものの。

高いのか、そうでもないのか、よく分からない中途半端な金額、、、。

まあ、それはいいとして。

エヌビディア(NVDA)がこれだけの授業料を払って得たものは何でしょうか?

無理やりこじつけてみると。

1.買収に際しては、デューデリジェンスをしているはずなので、ARMの内部状況をより理解し、強み、弱みも把握できたはずです。

2.破談になったとはいえ、この2年間の交流で、何よりも貴重な人間関係が培われたはずです。

ということで。

エヌビディア(NVDA)は20年間のARMのライセンスを保持し続けるそうなので、この経験は今後の研究開発でもきっと大いに役立つことでしょう。

なんてことを言っていてよいのか分かりませんが、近い将来ソフトバンクがARMをナスダックに上場するらしいので、頭を切り替えて行きたいと思います。

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