GAAP(米国会計基準)では、次の4つの財務諸表が求められています。
1.Income Statement 損益計算書 (以後、各表では ISと表記します)
2.Statement of Retained Earnings 株主資本等変動計算書 (RE)
3.Balance Sheet 貸借対照表 (BS)
4.The Statement of Cash Flow キャッシュ・フロー計算書 (CF)
通常、財務諸表を作成する場合、上記の1~4の順番と同様に、次のような順に作成されます。
1.まず、損益計算書を作成し、「純利益」を算出する
2.次に、その「純利益」を使って「期末の内部留保額」を計算し、株主資本等変動計算書を作成する
3.更に、その「期末の内部留保額」を反映させて、貸借対照表を作成する
4.上記の流れとは別に、上記「純利益」を基に、営業活動によるキャッシュ・フローを計算し、キャッシュ・フロー計算書を作成する
作成の順は上記の通りですが、面白いことに、アニュアルレポートに表記する順は特に決まっていません。
4つの財務諸表を自由に配置・表記することができるということです。
そこに、各社の特徴が出てきます。
今回は、その表記順から見た各社の特徴を見てみたいと思います。
私の保有米国7銘柄の、各社別財務諸表の表記順は、次のようになっています。
(IS=損益計算書、BS=貸借対照表、RE=株主資本等変動計算書、CF=キャッシュ・フロー計算書)
と言われても、よく分からないという方。
ごもっともです。
分かりやすいように、財務諸表別に色を付けてみました。
何はなくともまず必要な「純利益」を出すために必要な損益計算書(IS、赤)は、各社とも最初か2番目には表記されています。
また、それほど重要でもない株主資本等変動計算書(RE、黄色)も、3番目か最後です。
どちらも、大した特徴とはいえません。
では、貸借対照表(BS、青)ではどうでしょうか。
フェイスブック(FB)とアルファベット(GOOG)が、貸借対照表をトップに持ってきています。
貸借対照表は、ある時点の企業の財務状態を表す財務諸表です。
この2社にとっては、財務状態に問題がない、あるいは、財務状態が素晴らしいということを示すことが、最も大事なことなのかもしれません。
最後に、キャッシュ・フロー計算書(CF、緑)を見てみます。
7社中4社は、一番最後にキャッシュ・フロー計算書を持ってきています。
これはある意味とてもスタンダードな順番です。
一方、独自色をふんだんに出して、キャッシュ・フロー計算書をトップに持ってきているのが、アマゾン(AMZN)です。
アマゾン(AMZN)は、長期的な目標として、フリーキャッシュフローの最適化を掲げていますが、こんなところにその姿勢が表れています。
これからも、その意気で頑張ってもらいましょう。
意外だったのは、サザンカンパニー(SO)が、キャッシュ・フロー計算書を2番目に持ってきていたことでした。
投資額が大きな電力会社として、安定的に増配を続けていくにあたり、その配当原資が潤沢にあることを示すためのものなのかもしれません。
ここまで見てきて、特徴という特徴もなく、非常にスタンダードだったのは、ウェルズファーゴ(WFC)、スターバックス(SBUX)、エヌビディア(NVDA)の3社でした。
特徴がないのが特徴であるこの3社。
逆に、とても好感が持てます。
その調子で、堅実な財務管理を続けていってもらいたいものです。
以上、簡単ですが、財務諸表の表示順から見た、各社の特徴を見てみました。
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