2020年5月27日水曜日

スターバックス(SBUX)を例に いくらで自社株買いすると配当と同じ利回りとなるか?

前回は、スターバックス(SBUX)の株主還元を例にして、自社株買いと配当でどちらの方が投資家にとって有利かという議論をしました。

そして、自社株買いをする際の株価次第で、自社株買いが有利になる場合もあれば、配当が有利になる場合もあるという結論に達しました。

では、自社株購入価格がいくらであれば、自社株買いと配当の利回りが同じになるでしょうか?

今回は、前回の記事の流れを逆に辿って、その平衡点となる株価を出してみたので紹介します。

そのために、まずは前回の記事をお読みください。

⇒ 「スターバックス(SBUX)を例に 自社株買いと配当はどちらがいいか?」参照

前回の記事の流れは、

1.自社株買いしなかった場合の想定株価を出し、

2.その想定株価と、自社株買いをした実際の株価との差を、自社株買いの効果(想定株価上昇額)とし、

3.その想定株価上昇額に、1株あたりの配当額を足して出した株主還元額を、ケース1とケース2で比較しました。

今回は、その流れの逆を辿って、平衡点価格を求めました。

ちょっと細かい計算が続きますが、お付き合い下さい。

まずは、ケース1の1株あたり株主還元額が、ケース2(全て配当)と同じになるための1株あたり自社株買い効果「X」を求めます。

ケース1ケース2差異
1株あたり自社株買い効果X$0.00X
1株あたり配当$1.52$9.01$7.49
1株あたり株主還元額9.01$9.01$0.00

「X」は、7.49USドルとなります。

ケース1ケース2差異
1株あたり自社株買い効果$7.49$0.00$7.49
1株あたり配当$1.52$9.01$7.49
1株あたり株主還元額9.01$9.01$0.00

この「X」は、自社株買い有りと無しの株価の差です。

自社株買い有り自社株買い無し差異
株価$79.12 + X$79.12X

自社株買い無しの株価は、79.12USドルなので、自社株買い有りの理論上の株価は、86.61USドルとなります。

自社株買い有り自社株買い無し差異
株価$86.61$79.12$7.49

その自社株買い有りの株価86.61USドルを、PERの29.09xで割って、EPSである「Y」を求めます。

自社株買い有り自社株買い無し差異
株価$86.61$79.12$7.49
PER29.09 x(実績)29.09 x実績と同じとする
EPSY$2.72Y-$2.72

自社株買い有りのEPS「Y」は、2.98USドルとなります。

自社株買い有り自社株買い無し差異
株価$86.61$79.12$7.49
PER29.09 x(実績)29.09 x実績と同じとする
EPS$2.98$2.72-$0.26

次に、このEPSの2.98USドル」で、純利益の3,599.2百万USドルを割って、自社株買い有りの年度末の株式数「Z」を計算します。

単位:百万株、百万USドル(EPSを除く)
自社株買い有り自社株買い無し差異
EPS$2.98$2.72-$0.26
株式数Z1,324.201,324.2 - Z
純利益$3,599.2(実績)±0

その株式数「Z」は、1,207.8百万株となります。

単位:百万株、百万USドル(EPSを除く)
自社株買い有り自社株買い無し差異
EPS$2.98$2.72-$0.26
株式数1,207.8$1,324.2116.4
純利益$3,599.2(実績)±0

それと、自社株買い無しの株式数1,324.2百万株の差である116.4百万株が、自社株買いに充当された10、131.5百万USドルで買われた株式数となります。

従って、自社株買いすることによって、全て配当の場合の配当利回りと同じになる株価は、

10,131.5百万USドル ÷ 116.4百万株 = 87.04USドル

となります。

ということで、正解は87.04USドルでした。

尚、実際には、その10,131.5百万USドルでは、合計139.6百万株が買われたので、その平均購入価格は、

10,131.5百万USドル ÷ 139.6百万株 = 72.58USドル

でした。

平衡点の株価よりも、▲14.46USドル安く買っていたことになります。

スターバックス(SBUX)の財務担当者、グッジョブ!でした。

ということが確認できて、これからも枕を高くして、果報を寝て待ちたいと思います。

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