2020年5月21日木曜日

スターバックス(SBUX) 債務超過にかかわる疑問点をいくつか

前回は、遅ればせながら、スターバックス(SBUX)の2019年度末の債務超過について紹介しました。

⇒ 「スターバックス(SBUX) 今頃言うのも何ですが、この債務超過っていいんですか?」参照

その際、いくつか疑問に思うことがありました。

以下の疑問は、ひとえに自分の会計知識不足によるものだったのですが、とりあえずいくつか解決したので忘備録として記しておきたいと思います。

<疑問1>

損益計算書で、純利益が3,594.6百万USドルとプラスを計上しているのに、どうして貸借対照表では期末の純資産が▲6,231.0百万USドルのマイナスになるのか?


とりあえず、キャッシュフロー計算書の財務キャッシュフローから、その原因が配当支払いと自社株買いだということは分かっていました。

百万USドル
2019年度
配当支払い$1,761.3
自社株買い$10,222.3
株主還元合計$11,983.6

しかし、それはあくまでもキャッシュフローで、純利益プラス→純資産マイナスのからくりが分かりませんでした。

それを解決してくれたのが、株主資本等変動計算書です。

確かに、スターバックス(SBUX)のアニュアルレポートにも Consolidated Statements of Equity は含まれていました。

しかし、その資料だけ90度回転していて、大変見づらかったので無視していたのです。

、、、という言い訳は見苦しいので止めにして、その中身を見てみましょう。

百万USドル
期初純資産(2018.9.30)$1,175.8
2019年度純利益$3,594.6
配当支払い-$1,801.6
自社株買い-$10,131.5
その他諸々$931.7
期末純資産(2019.9.30)-$6,231.0

期初の純資産が1,175.8百万USドル。

そこに、純利益の3,594.6百万USドルが加わったものの、配当支払いと自社株買いで、期末の純資産が▲6,231.0百万USドルのマイナスになる流れが一目瞭然となりました。

勉強になりました。

<疑問2>

期末純資産がマイナスになる中、どうして11,983.6百万USドルの株主還元ができたのか?


その鍵は、全てキャッシュフロー計算書にありました。

百万USドル
期初現金(2018.9.30)$8,756.3
営業キャッシュフロー$5,047.0
投資キャッシュフロー-$1,010.8
財務キャッシュフロー-$10,056.9
為替調整-$49.0
期末現金(2019.9.30)$2,686.6

ここからエッセンスを拾ったものが以下になります。

百万USドル
現金取崩し$6,069.7
フリーキャッシュフロー$3,240.4
長期借入$1,996.0
その他諸々$677.5
合計$11,983.6

簡単に言うと、株主還元の原資は、手持ち現金の取崩し、今期の儲け、そして、多少の借入で賄っていました。

現金取崩しの6,069.7百万USドルは、期初現金8,756.3百万USドルと期末現金2,686.6百万USの差です。

フリーキャッシュフローの3,240.4百万USは、営業キャッシュフロー5,047.0百万USから、(ここには書いていませんが)投資キャッシュフローの中にある設備投資
1,806.6百万USを差し引いたものです。

百万USドル
営業キャッシュフロー$5,047.0
設備投資-$1,806.6
フリーキャッシュフロー$3,240.4

長期借入の1,996.0百万USドルは(これも、ここには書いていませんが)財務キャッシュフローの中にあります。

それに、その他諸々の677.5百万USドルを加えると、見事11,983.6百万USドルの株主還元額になります。

ああ、スッキリしました。

<疑問3>

債務超過になってまで株主還元して大丈夫なのか?


インターネットで色々調べてみると、

「潤沢な現金収入さえあれば債務超過は許される」

「日本では債務超過すると銀行がお金を貸してくれないからダメだけど、米国なら問題ない」

「債務超過して何が悪いの?」

等の意見がありました。

しかし、長期的に見て債務超過が果たして本当に健全な状況なのか、まだ自分としては答えは出せていません。

この疑問についての旅は、まだまだ続きそうです。

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